Jardin éternel〜永遠の庭〜展/Silent Music

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 過日、東中野のSilent Musicさまで開催されていた「Jardin éternel〜永遠の庭〜」展に訪いました。さかのぼること去年、「聖セシリアの面影」という展示のときのおり、展示会に足を運ばせていただいていたわたしは、すべてのはじまりのときに、たまたまいあわせたことで奇跡のようないちれんの流れを目撃したのでした。

 

 かの「聖セシリアの面影」は薔薇の画家である豊永侑希さんと、繊細なレエスみたいなアラベスクを画のなかで表現される日香里さんの共同展示だったのですが、そのときお客さまとして豊永さんにかつて師事されたかたがいらっしゃいました。そのかたご自身も植物画家をされており、お花のコサージュなどもおつくりになるということで、「聖セシリアの薔薇」のコサージュをおつくりになり、豊永さんと日香里さん、そしてマリアさまのお庭のマリアさまこと、Silent Musicさまの女主人である久保田恵子さまのおみやげとして捧げられておられました。なんという素敵な心づかいでしょう。わたしはそのやりとりを拝見しながら、いたく感動していました。そのとき恵子さまがおっしゃったのです。「そうだわ。いつかこのコサージュをこの場所で展示させていただけませんか」—―まさに鶴のひとこえならぬマリアさまのひとこえで、奇跡みたいにものごとが決定してゆきました。その薔薇のコサージュのかたが、このたび「永遠の庭」展にご参加された作家さまのおひとり、山口茂子さんでした。それからというものわたしは、この展示が開催されるのを心待ちにして過ごしていました。

 

 これも偶然なのですが、この展示の名が「Jardin éternel」に決まったおりにもいあわせたことをよく記憶しております。「絵画のなかの花は枯れることなく、永遠に咲きつづけている。だから《Jardin éternel》――永遠の庭」がいいのではないかと日香里さんがおっしゃったその言葉も。やはり「マリアさまのひとこえ」で展示名が決まったときから、春はSilent Musicさまに、という意識をどこかにもちながら、毎日を過ごしていたように感じます。

 

 

 

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 このたび、豊永侑希さん、日香里さん、山口茂子さん、Makiさん、そして久保田恵子さんが紡ぎあげた「永遠の庭」を拝見できたこと、この祝福の五月の、たくさんの幸せのひとつとして、わたしのなかに刻まれることと思います。

 

 ご参加された作家さんがたからも、興味深いお話をたくさんうかがいました。

 

 山口茂子さんのコサージュは、彼女が手ずから育てられた薔薇の花びらから型紙をとられて愛情をこめてつくられていること。その型紙も展示されており、やはりこまやかさに山口さんのお人柄のようなものを感じました。豊永さんともお話でき、作品について感じていることをおつたえできて嬉しく思いました。わたしは人見知りをするのでなかなかおしゃべりが得意ではないのですが、どうしてもおつたえしたいことが、豊永さんにはたくさんありました。絵画に名づけられた『薔薇くい姫』という題から森茉莉を連想したこと、豊永さんの描かれる女性は森茉莉的な世界の女性のように感じられること、それはすなわち清らかでありながら妖しく、それでいて気高い女性、花嫁衣裳を身に纏いながら、その裏地には彼女しか知らない《秘密》が忍んでいそうな、高貴で美しい女性。豊永さんは薔薇の画家でありながら聖女の画家でもあり、そして聖女とは「聖なる魔」を宿した女のひとにほかなりません。わたしは豊永さんの描かれる「聖女」をこよなく愛するものです。Makiさんのビジューの装飾品のアンティークな美しさは、コルセットを身に纏った中世のレディのためのお守りみたいな印象を受けました。刻まれた十字架に、彼女たちは自分自身の「神」を託し、そして艶やかなくちびるを扇に隠す。そのような淑女のためのもの。

 

 そして心から大好きな日香里さんの絵。このきよらな横顔の微笑みを目に灼きつけてまいりました。

 

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 この聖堂みたいな空間に作品群が溶けあいながら散りばめられていて、そのなかをめぐることができるのは、いつもながらに幸福のため息をこぼしてしまいます。

 

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 マリアさまのお庭の薔薇。

 

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 このたびもありがとうございました。このような場所が存在することが、わたしの希望であり、いつでも思い出せるように胸のなかにこの聖堂があることを、誇らしく思います。

 

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