アリスのティーパーティー part.2/点滴堂

 

 

 

 点滴堂さんのアリスのティーパーティー

 

 part.1にひきつづきpart.2の今回は、スコーンとサンドイッチ、そして希望をいっぱいに詰めこんだバスケットのなかみたいに、つくりてのかたたちが《アリス》という観念にこめた美しい幻みたいに儚くしかし強靭な夢に満ちた空間が紡ぎだされていました。このバスケットのなかのものすべてを大切に抱いてピクニックに繰りだしたとき、黄金の昼下がりのむこうにある境界をこえて狂った時計のはざまに迷いこむことができる。乾杯の親しみを酌みかわしあうお茶会の扉のさきに、わたしのまぼろしとゆめがある。

 

 すでに幾度もいっているように、点滴堂とはそんな時空のひずみのなかに存在するような、うつつから隔てられたところなのです。現実とは異なる時間の流れのなかにあるその場所はきっと、白兎のみちびくところ。

 

 

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 わたしのお写真の腕前の問題で、実物の素敵さの半分もつたわらないと思いますが、今回もほんとうに素晴らしい展示物と大好きな書物の題名ばかりならぶこのブックカフェにいられることの幸福を噛みしめながら、あの白いお部屋でカフェオレをいただきました。これももうお話したかもしれませんが、点滴堂のカフェオレはわたしには「お薬」なのです。それを処方していただくと「点滴」していただいたように活力がわく、どんなお薬よりもわたしには効果をおよぼしてくれる魔法です。

 

 この小瓶に詰められた扉と鍵をご覧になれるでしょうか?

 この白兎と三月兎の人形の愛らしさは?

 「アリス」というだけで胸をときめかせてしまうことの甘美さを、どうすることもできません。

 

 点滴堂の時計はどれもこの現実の時間をささず素敵に狂っているのですが、そのなかのひとつ、おおきな鍵の時計はアリスのティーパーティーのはじまった時刻にあわせてありました。つまりわたしたちは、その空間にいるかぎり永遠に終わらないお茶会のなかに存在するというわけです。あなたはアリスのお茶会が開始したとき時計の長針と短針がいったい何時をさしていたかご存知ですか?

 

 このたび点滴堂で採集したもの、スパイス一匙さんのカメオブックマーク。臙脂のなかに浮かぶ紋白蝶の優雅で美しいこと。この作品を眺めているとき、なぜだかわたしの脳裏に「柔肌の熱き血潮に触れもみで寂しからずや道を説く君」という歌が聴こえてきて、それがこの蝶の甘い蜜の囁きのように感じられました。

 

 

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 Troomsさんのホワイトチョコレートとよしだみかさんのみつあみの栞は大切な女の子への聖夜の贈り物のために。

 

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 絶版でないものは古書では購わないけれど、この書物はすでに所有しているのでよしとしました。それなのになぜ入手したのかといえば、あの場所でたくさんの少女から乙女の手に渡ったはずのこのご本は頁の隙間に夢をいっぱい吸いこんでいるに違いなく、あなたへの贈り物にしたいと思ったから。

 

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 それから。

 点滴堂さんで絶版になってしまったきたのじゅんこさんの画集をすこしずつ蒐集しているのですが、これはこのたびお迎えした『夢のなかへ』というご本のなかにおさめられた絵の一部です。この麗しさ。それでいて郷愁めいた懐かしさを誘う彼女の画は、まさに夢のなかの原風景で幻風景のようです。

 

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 わたしにとって点滴堂もそのような場所です。原風景で幻風景であるような、懐かしさと親しみ。

 

 最後に余談として。

 このたび点滴堂に訪ったおり、床に四つ葉のクローバーが落ちていて、不思議に思い拾いあげたらそれは翠色の紫陽花の花びらで、さらに不思議に感じて見渡せば展示棚の下に隠れたように紫陽花が活けてあり、あの空間に張り巡らされたこまやかな神経に感動してしまったと、そういうお話を添えて。