乙女の散策/Silent Music

f:id:tukinoyume:20171011171130j:plain

 

 

 東中野の駅からすこし歩いた場所にある曲がり角を右折して坂道をおりたさきに、その入り口はあります。Silent Music——マリアさまのお庭。聖母が微笑みながら見おろす美しい庭をとおり、扉をあけたさきにある空間には、やさしい旋律がひろがっている。それはときに白鳥の純白の羽ばたきの音のように何者にも穢されない《白》として、宇宙のなかを銀河鉄道みたいに疾走してゆく流星の燃えるメロディのごとき《青》としてそのお部屋が奏でる静謐な音楽で、その音色が心のなかに染みこんでくれることを願って、つい長居してしまっていけません。

 

 まるで乙女の秘められた祈りを聞き届けてくれるために扉をひらいてくださる清らかな教会のごときその空間は、そこに住まわれているそれこそ永遠の《乙女》のように純真で、軽やかな翼を背中にもっていらっしゃるようなピアノ演奏者の久保田恵子さまの音楽室なのだそうですが、ある時期のかぎられた時間だけ美術館に姿を変え、あの場所の《祈り》に触れたいと訪う者たちを招き入れてくれます。

 

 マザー・テレサに「大切なことは、どれだけたくさんのことや偉大なことをしたかではなく、どれだけ心をこめてしたかです」というお言葉がありますが、Silent Musicはそれを想起させてくれるような場所で、それはなぜかというとあの空間に宿る魂の美しさを、一歩足を踏み入れた者ならば感じないではいられないからかもしれません。

 

 いまは「星の巡礼」展と名づけられた展覧会が開催されていて、わたしはすでに初日に足を運ばせていただいたのですが、期間中にもう一度訪う予定なので、今回はその催しのことではなく、Silent Musicという空間のことについて綴らせていただきました。「星の巡礼」展の詳細はまた後日書きたいと思うのですが、ひとつだけ。巡り翔け墜ちる星々のなかで、志田良枝さんの【菫色の夜】をお迎えするという僥倖に恵まれ、あの絵が恋しく、わたしのもとにやってきてくれる日が待ち遠しいので、このところその絵のポストカードを眺めてはぼんやりしています。またあの清らかなマリアさまのお庭のヲルゴオルのようなお部屋のなかであの絵と、数多の星たちと出逢える時間を心から楽しみに。

 

f:id:tukinoyume:20171011171128j:plain

 

 Silent Musicで販売されている『小さなテレーズ』とそれに付属しているおメダイ。——「わたしは天から薔薇の雨を降らせましょう」

 

f:id:tukinoyume:20171011180313j:plain

 

 久保田恵子さまの音楽集には、それぞれ恵子さまの手製されたハートのお守りが添えられていて、わたしはいつも持ち歩いてお守りにしています。

 

f:id:tukinoyume:20171011180314j:plain