乙女の散策/草舟あんとす号、Atelier conafe、コトリ花店

 

 

 小川の駅から徒歩で十分ほどの場所にある《塔》には三人の魔女さんが棲んでいます。植物の本屋さんである草舟あんとす号ではタロットのセッションやフラワーレメディの調合をしてくださり、Atelier conafeでは口にすると頬がおちてしまいそうなおいしいお菓子が購え、コトリ花店ではお花たちが可憐という言葉の意味を教えてくれます。

 

 美しい魔法のかかったその《塔》に、白百合の乙女と足を運んできました。

 

 お約束したわけでもないのにおなじ色のお洋服を纏ったわたしたちは、待ちあわせの駅で目と目があった瞬間にお互いの姿を認めて微笑みあいました。

 

 「きょうのわたしは曼殊沙華です」と燃えるような臙脂色のワンピースを纏い、空を閉じこめたごとき蛋白石の華奢な首飾りを揺らしながら白百合はいいました。《白》い花であることをおやすみし情熱の色を身につけながらも白百合は、いつものごとく清らかな彼女でした。

 

 「由芽さまは菫ね」と彼女はつづけました。たしかにおなじ色のお洋服だとばかり思っていたのに、よくよく見るとほんの少しの違いがありました。わたしのワンピースは葡萄茶の色で、それはお花にたとえるならば菫としかいいようのない色でした。

 

 「それならわたしたち、きょうは曼殊沙華と菫ね」と笑いながら、姉妹みたいによく似た色のワンピースを纏ったわたしたちは駅をでました。目的はあの《塔》です。わたしはわたしの秘密の七つ道具がおさめられている鞄のなかから水溶液が入ったボトルとストローの形状をなした玩具をふたつ取りだしました。《塔》へいたる長くて広い道を、彼女とシャボン玉を吹きながら歩いてゆこうという魂胆です。

 

 白百合はわたしのこのたあいのない企みに、顔を輝かせるほどに喜んでくれました。

 

 透明な球体がいくつも空に浮かんでは消えてゆきました。わたしたちの唇から生まれた虹色の泡は儚くて、だからこそとても綺麗だった。シャボン玉ではしゃぎよろこび、幸せを教えあうようにそのたびに顔を見あわせるわたしたちは、まるで幼い女の子のようだったと思います。そしてひとりで歩くには長いその道が、ふたりでならあっという間に進んで、目的の《塔》に到着しました。

 

 まずAtelier conafeさんに訪い、すぐにsold-outになってしまうトライフルがあるか在庫を確認。ふたつある! と感激しながらクッキーとともに購入し、ご店主にとびきりおいしいお紅茶を淹れてもらい(これはなんとサーヴィスなのです)、テラスでお茶ととしゃれこみます。

 

 

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 植物の本屋、草舟あんとす号さんではずっと気になっていたHiromi Takedaさんの『Let Me Bloom』をお迎えする。バーバラ・クーニーの『エミリー』のお話をしたりと、とっても楽しかった。植物にまつわる興味深いお話もうかがえて、いつも訪うたびにあたらしい発見と示唆をわたしに提示してくれるこの場所は、清浄な空気に満ちている書物の「森」です。

 

 「内に秘められた花はあなた。あなたがあなたを咲かせることで、あなたはもうそのままで咲いていること、どうぞ思い出して」――Hiromi Takeda

 

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 コトリ花店さんにならぶお花には心の潤いをあたえていただき、花々のなかを遊ぶように点在する少女と兎の絵に、わたしの乙女心は刺激されてやみませんでした。ここではかわいい鳥のカードをお迎え。

 

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 《塔》をでたあとはクリームメロンソーダと桃のショートケーキをいただく、あまりにも幸せな乙女な一日。

 

 

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 おまけ。

 

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