少女と乙女と、それから女

 

 

 少女は拒絶する。乙女は受容する。世界を、時間を、他者を、そしておそらく自分自身を。

 

 自分を縛る何者かに首を横に振り、ときにはおのれの美しささえも拒み背け、空を飛ぶことだけを祈り、その背中に羽がある自身を疑い、反世界に出奔しようとするのが少女。

 彼岸に飛んでゆきたい彼女たちは、この世がちいさな庭であることを祈る。その狭さのために、すべての美しいものがうつくしいままで維持できる庭であることを。彼女たちにとって、神とは死だ。甘く囁きかける「神」を拒むことができたとき、あなたたちは革命される。

 

 自分が愛す何者かに首を縦に振り、ときにはおのれの穢なささえも迎え入れ、夢を見ることだけを願い、その心臓に翅がある自身を信じ、世界を空想しようとするのが乙女。

 此岸で眠りつづけたい彼女たちは、この世がおおきな野原であることを願う。その広さのために、すべての醜いものが、そのみにくさを霧散できる野原であることを。彼女たちにとって、神とは愛だ。苦く衰えてゆく「神」を赦すことができたとき、あなたたちは覚醒される。

 

 少女は空を飛ぶ。乙女は夢を翔ける。

 

 少女とは、まだおのれの美しさを知らない者のこと。
 乙女とは、まだおのれの穢なさを知らない者のこと。

 

 「まだ」知らない。「いつか」は知る。

 そのとき《彼女》は少女でも乙女でもなく、女となる。

 《女》とは、おのれの美しさと穢なさを知る者のこと。

 

 少女の高潔さと勇敢さ、乙女の慈悲と夢を、かねそなえた者こそが女。

 

 真実の女。