聖らに愛されし乙女

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 きよらかな静謐を紡がれるyukaneさんの絵にお逢いしに草舟あんとす号さんへ訪いました。

 

 「繭の森・1」――幻想水彩画展2017

 

 森から出現した聖なるものたちと妖精と乙女の姿があの親しげで濃密な空間に散りばめられているなか、画家はこのあわくみずみずしい色彩世界を紐解くしるべのために、うつくしいパンフレットをくださった。わたしはそこに綴られた詩と神聖なる森に魅入られてしまった。

 

 これから訪れるかたの楽しみを奪ってはいけないので、全文を掲載することは控えますが、どうしても引用せずにはいられないほどに美しい詩でしたので、ほんの少しだけここに。

 

 

 星のまたたき 月のささやき

 花のためいき 木々のざわめき

 白き存在を傍に

 広がる闇に身を預ける

 

 かざした手も見えない闇がみせる不思議とやさしい夢は

 いつかの森が朧にかたちづくる銀の繭

 繭の森は枝の絡み合った大きな羽をひろげて

 あなたをつつみこんでくれる

 

 

 これは長い詩のほんの抜粋です。

 

 繭の森は、まだ羽化するまえの聖なるものたちがつどう、睫毛を閉じたさきにあるやさしい世界。いまは膝を抱きながらゆっくりと甘やかな息をこぼして眠るときですよ。だってあなたには、いつか目覚めがやってきて、きっと美しい蝶になる日がくるから。いまあなたの傍らにいる清らかな獣は、あなたが蝶になったそのあとも、あなたが飛びゆく場所のどこにでも、空気のようにいっしょにいてくれますよ。

 

 じっと目を凝らせば視線を傾けた時間だけ心が浄化されるような数々の絵から、わたしはそんな言葉を聴いたような気がした。それは乙女にあてたメッセージだ。yukaneさんの絵のなかのどの乙女も聖なる生き物に愛されるにふさわしい清らかさで、その背中に羽根が透けて見えるようだった。

 

 それは天使の翼かもしれないし、妖精の翅かもしれない。

 

 月が満ち欠けするなかで、鹿の角が黒く白く輝くなかで、乙女の眠りを守るための繭の森のその奥に、儚くも頑強な城が、わたしには視えるようだった。そこで目を伏せて微睡む彼女の瞼の裏に、たしかに存在する清ら。目覚めたとき、彼女は森で過ごした季節をひとつの夢として忘れてしまうかもしれない。けれどもたしかにあった時間は、なかったことにはならない。

 

 なんだか無性に胸が締めつけられた。

 

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 余談ですが、お洋服やアクセサリィは、わたしなりに「繭の森」をイメージして纏いました。

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 そして草舟あんとす号さんのならびにあるコナフェさんについに訪うことが叶いました。無花果が大好きな父にはいちじくとほおずきのタルトをおみやげに、自分用にクッキーを購ったのですが、とってもおいしくてつくづくなぜこの素敵な《塔》が歩いて訪える距離にないのかと歯ぎしりなのです。

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