永遠の少女標本(2)――小町娘のレメディオス

 

 

 

 小町娘のレメディオス(Remedios the Beauty)

 ガブリエル・ガルシア=マルケス著『百年の孤独』の登場人物。

 


 空に還った少女。

 


 彼女を双眸に映した男はその美貌をまえに、まるで女神に拝顔した者のように眩暈し、我もなく夢想に耽り、最後にはいのちを落とす。

 

 事実、彼女は人間のなかに生まれた女神だったのかもしれない。

 

 ひとが自分の人生を生きるということが、種子から芽吹いて誕生し、一本の樹となって花を咲かせ、やがて果実をつけ、死とともに枯れることをさすならば、この世に根をはって「生きる」ための能力が、彼女にはあまりに欠如していた。

 

 彼女には種も芽もなかったのだ。

 

 なぜなら彼女は最初から美しい花として、世界に出現したのだから。

 

 そうして重く垂れさがる果実の季節を迎えるまえに、その花びらは空にむかって舞いながら消えた。

 

 女神が自分の国へ還るのを、引き留めることはできない。

 

 あとにはこの地に根をひろげすぎて宙へと飛翔することの叶わぬ人間たちが残されただけだ。