少年

みどり・あお・くれなゐ

澁澤龍彦の書物に『少女コレクション序説』という題名のものがあるけれど、かれに負けず劣らずわたしが《少女》を心にある扉の内側に蒐集しているのは、親しいひとたちのあいだでは周知の事実だ。わたしのなかには城がある。そこで「彼女たち」は眠りに就い…

夏はもう戻ってこない

“ 彼女がこの夏の九日間を一緒に過ごそうと提案した時、私は新しく買った日記帳のことを考えていた。” 『蛇行する川のほとり』という物語はそんな冒頭から幕をあける。 “ その気になればほんの一撃で壊してしまえる代物なのに、少女たちはあの小さく脆弱な鍵…

黄金の年輪に刻まれる一瞬

十七歳は黄金の季節か、暗黒の時代か。 甘く柔らかい舌でくるみこみ、宝石みたいに閉じこめておきたい永遠の楽園か。口のなかから吐きだしたい悪意の唾のように、二度と想起したくない煉獄か。その答えはひとによって異なる。 けれどもその年齢をいまになっ…

プリンスになりたかった男の子

あのころ、わたしのまわりの男の子たちにとっての文学における「神さま」は、吉田健一と澁澤龍彦と深沢七郎だった。 生きている現在進行形の人間は、いつ自分を裏切るかわからないから完全には信用できないけれど、この世と縁を切ったひとならば絶対に自分を…